1. カードの分かれ方に関する確率

​コントラクトをプレイするときに、オポーネントから特に情報が得られず、数学的に確率がいいプレイをしたいときってありますよね。しかし、確率を毎回計算するのは非常に大変ですし、そこで体力を使うと、もっと大事なところで間違えてしまいます。ここではブリッジでよくでてくるカードの分かれ方についての確率を紹介します。ある程度算数が得意でないと厄介かもしれませんが、なんとなくでも大丈夫です!

​●11枚フィットの時(ディクレアラーとダミーで11枚持っているとき)はオポーネントに残り2枚のカードがあることになります。では1人が2枚持っている確率と2人が1枚ずつ持っている確率、どっちが多いと思いますか?

たとえば、持っていないカードが2とKだとしましょう。ディクレアラーはSでダミーがN、EWがオポーネントとします。

 

早い人は小学校で、普通は中学で習う確率の話だと、

①W:K2  E:なし

②W:なし  E:K2

③W:2  E:K

④W:K  E:2

の4通りが存在し、1-1は2通り、2-0(今後この書き方は0-2も含むことにします)も2通りなので同じに見えます。しかしブリッジはカードを13枚しか持てない制約のため、①②は同様に確からしく、③④も同様に確からしいですが、①と③はそうではありません。ブレイクがいい(=均等に分かれている)ほど確率は上がります。

(とはいえほとんど等しいのも事実なので簡易的な計算には使えます。)

今回の例だと、1-1ブレイクは52%、2-0は48%です。

これがどんな時に使えるでしょうか。

 

よくあるのはこんなパターン。

NがAQxxxx Sがxxxxxと持っていて、今Sからxを引き、Wから2が出てきました。さて、フィネスと、AをたたいてKが出てくるのにかけるの、どっちがいいプレイでしょうか。②と④はWから2が出てきた時点で確率的に存在しなくなります。フィネスは①で成功、たたくのは③で成功です。この条件付確率がいいのはたたくほうで、4%得ですね。

●フィット枚数と別れ方の確率をまとめてみました。

確率の計算.png

​特に出てくる大事なところは赤くなっているので、ぜひ覚えてください。

これを使えばたとえば、7枚フィットの時に、EにQxxxが、Wにxxがある確率も求められます。

(4-2ブレイクの48%)×(Wが4枚でなくEが4枚の確率1/2)×(4枚のほうにQがある確率2/3)で16%です。

余力のある人は全部覚えましょう。まあ忘れたとしてもあんまり問題なくて、例えば7枚フィットの3-3ブレイクはすべての別れ方が同様に確からしいと近似しても、6C3/2^6=0.3125で、ほぼほぼ正しい値が出てきます。

●レストリクテッドチョイス (restricted choice)

​この話、一発で理解で来たら数学力が高いこと間違いなしです。あんまよくわかんなくても、結果だけ覚えておけば問題ありません。(笑)

レストリクテッドチョイスの話に入る前にひとつ前提があります。

N:AKJ87

S:T965

と持っていてあなたはSに座っています。一回NのAをとってみたものの、Qは出てこず、2と3が出てきました。2巡目にSからリードしたとき、Wは4を出します。さて、AをたたいてWのKxに賭けるか、それともJをフィネスしてWのKxxに賭けるか、どっちが正解でしょう?フィネス②の復習です。これはAをたたくほうが数パーセントだけいいです。

話はちょっと変わってこのハンド。

N:AKT87

S:9654

こんどはQJがありません。一巡目にAをとって2と3が出てきたら5勝するためにはもうフィネスの選択肢は存在しないので、Kを叩いてQもJも降ってくるのを祈るのみです。しかし、今回は一巡目にAをとったらWから2、EからJが降ってきました。

もう一度に入り、Sから5を出してみると、Wは4を出します。さて、たたくのとフィネスどっちがいいでしょうか?

①W:Q42 E:J

②W:42 E:QJ

の2パターンがあり、①ならフィネス、②ならたたくプレイが正解です。この2パターンだとオリジナルな確率ではさっきまでと同じで②のほうが多いです。では②のほうが正解か・・・?

 

ファイナルアンサー??

というわけで正解発表ですが、今回の場合正解はフィネスです。しかも確率の差は約2倍。①で成功する確率は約66%です。なぜこんなことが起きるんでしょうか。

ポイントはEが『JxからJをプレイすることが絶対にない』という点にあります。

もちろんルール上プレイするのは自由ですが、合理的なことは理由はないですよね。もしWがQxxと持っていたら確実に1個は勝てたものをフィネスされたら1個も勝てなくなっちゃいますし、9枚フィットならもう一度Sに入ってこのスートをプレイしたらWからQが飛び出すのでディクレアラーは間違えようがありません。

つまりEのハンドは、2巡目をプレイするまでもなくJかQJだったということです。さらに厳密にはQJxもなくはないですが、その時は絶対にNSで全勝はできないので考えても仕方がありません。)

 

さてあらためて、

①W:Q42 E:J

②W:42 E:QJ

①と②、本当に同じ確率だと思いますか?②の場合って、Eは別にQをプレイしてもよかったはずです。Eが2枚とも持っている以上この二つのカードの強さは全く同じです。

仮説A:EがQJを持っていたら必ずJをプレイする人だった場合
この場合は①と②はほとんど同じ確率です。オリジナルに出現頻度が高い②がごくわずかに上回ります。

仮説B:EがQJを持っていたら必ずQをプレイする人だった場合
​この場合、②は存在しないことになります。したがって正解は①です。

仮説C:EがQJを持っていたらQとJを半分半分にプレイする人だった場合

この場合②である確率は半分に落ちています。2:1で①が正解です。

相手が絶対仮説Aだという確固たる自信があるのならばキャッシュでも問題はありませんが、実際はそんなことわからないですし、ほとんどのプレイヤーはハンドを少しでも読まれにくくするため仮説Cでプレイします。


(逆の視点で見ると、絶対仮説Aでプレイするプレーヤ―は上級者からするとカモで、もしばれてしまったらJを出したらたたかれるし、Qを出したらフィネスされてしまうので、ばれなければフィネスしてくれたQJの時に損して、Jシングルトンの時に得をすることになりますが、これはQJのほうが多いのでダメですね。仮にばれなかったとしてもランダムに出す人と比べて別に得していません。どっちにしろフィネスするからです。つまりリスクだけあってリターンはゼロです。)

話をまとめましょう。

1回キャッシュしてアナ―が降ってきた時には、アナ―ダブルトンよりもシングルトンの可能性のほうが高い。
(多くの場合フィネスが推奨される)

ここだけ覚えておけばOKです!

(おまけ)なんで前半の例ではレストリクテッドチョイスが使えないの?

①W:Q42 E:3

②W:42 E:Q3

前半の例では①と②のどちらかで、②のパターンがちょっと多いからたたいたほうがいいという話でしたね。

​これは絶対に仮説Aだからです。Q3と持っていてQを出すプレイ(フォールスカードといいます)も0とは言えませんが、上述したようにまずありえません。今回Q捨てちゃったら話終わっちゃいますしね(笑)。