​1. フィネス (finesse)②

1-3. そのフィネス、本当にやるべき?

フィネスは基本的に50%の確率でトリックを増やすことができる優秀なテクニックです。しかし、この50%というのがじつはポイントでもっといいプレイがある可能性もあります。

​また、ブリッジはコントラクトを確実にメイクすることが非常に重要な競技となっております。つまり、フィネスが失敗したときにコントラクトが落ち、せずにメイクする方法があるならば、後者のほうがいいプレイになります。​

​ここではわかりやすい例と考え方挙げておきますが、基本的には記憶しているというよりは、プレイの都度微妙な確率は計算しています。

●Eight ever, nine neverの法則

​ブリッジにおいてよく出てくるシーンがこちら。右の図3において、あなたはSで3NTをプレイしています。♥リードがきました。♠1、♥1、♦2とあるので♣で5勝すればメイクです。どういうプレイをしますか?

一つ目のプレイは♣A、♣Kととって、♣Qが落ちてくることに賭けるプレイです。

もう一つは♣Aをとった後に、♣KJで♣Qをターゲットにフィネスするプレイです。

♣Aをとった後に片方が♣を持っていないことが分かったら考えることはなくなりますし、E0枚は100%成功するフィネスができますし、W0枚はもう無理です)どっちかがQシングルトンだったら全部勝てるので、ここでは♣2,3が出てきたとしましょう。さらにSから二巡目の♣を出したときにもQが出てきたら話が終わるので4が出てくることにしましょう。

答え、決まりましたか??では正解発表です。

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finnese34.png

♣だけのことを考えたら、先ほどの状況まで行ったら確率は同じです。残り1枚のQがどこにあるかだけでEがQ8か8シングルトンかはどちらも1通りなので。しかし、お互いのプレイヤーはカードを13枚しか持っていないという制約があるため、この1通りは同様に確からしくありません。8グルトンのほうがちょっと珍しいんです。

確率的には9枚フィット(2人で合計9枚持っている)の時は2%ほど1つ目のキャッシュするプレイがすぐれます。

10枚フィットでも同様にキャッシュのほうがいいです。

もちろん、これは全く♣の情報がないときの話で、この2%を覆せそうな、フィネスのほうがよさそうな理由をビッドやそれまでのプレイから得られていたらフィネスのほうがいいです。

では図4の状況ではいかがでしょう。

今回は8枚フィットです。♣で4勝すればメイクです。さっきと同様に♣Aをとってみて、♣KもとるかJをフィネスするか。計算するとわかりますが、これはフィネスのほうが18%確率がよくなります。(キャッシュは35%、フィネスは53%の成功率です)

さっきと同じで、これも情報がないときの話ですが。ただ、先ほどとは確率の差が大きいので割と確かな根拠が必要です。7枚フィット以下だと差はもっと広がります。

​話をまとめましょう。(特に情報がないなら)9枚(以上)フィットはQはフィネスするな!8枚(以下)フィットはQはフィネスしろ!です。

Eight Ever, Nine Never)

​●セーフティープレイ ​

フィネスをすればトリックが増えるチャンスはあります。理系チックに言うととれるトリック数の期待値が上がります。ですが、多くの場合においてやるべきことはメイク率を上げることです。図5を見てみましょう。3NTbySとなり、♠リードが来ました。♠1♥3♦4とあります。つまり♣は1つでもとれればコントラクトはメイクします。♣をフィネスすれば10個目が手に入るかもしれません。しかし、もしフィネスが失敗したらEW側に♠を全部取られて、コントラクトはダウンするでしょう。

フィネスしない場合ほとんど9トリックジャストメイクで+600点です。一方フィネスした場合ほぼ50%で10トリックの+630点、ほぼ50%で-100点です。リスクとリターンが釣り合っていないですね。

(注)少し応用編ですが、もし♥リードが来ていたらどうでしょう。さっきと同じようにフィネスしないほうがいいんでしょうか?いいえ違います。今度はフィネスが正解です。なぜならフィネスが失敗しても次のトリックは勝てるので、コントラクトが落ちない、つまりノーリスクだからです。フィネスしない場合ほぼ+600ですが、フィネスすれば50%で+630、50%で+600となり、したほうが得です。

図5.png

1-4. いろんな種類のフィネス(その2)

​●エントリーを節約できるフィネス

1-2ではいろんな種類のフィネスを見てきましたね。そこでネックになったのがエントリーの問題です。

N側:AQJT

S側:5432

この形のフィネスで4勝したい場合S側に最大何回わたる必要があるでしょうか?

正解は3回です。WがKの4枚を持っていたらフィネスが成功するたびにSに帰らなければなりません。

しかし、そんなにたくさんエントリーがないこともしばしばあります。
 

一方

N側:AQ32

S側:JT98

ではどうでしょう?さっきと同じKをターゲットしたフィネスですが・・・。

今度は1回で大丈夫です。SからJを出し、WがKを出さなかったらNでは2を出します。WにKがあるならばこれは勝つのでまたSからリードできますね。もKがでてきたらSのT98がプロモートします。

同様にして
 

N側:A432

S側:QJT9

もKをターゲットしたフィネスになっています。

2-1で上げたほぼすべてのものにたいして同じ理論が使えますが。

 

ひとつ注意してほしいのは、今回の場合、たとえば

N側:A432

S側:Q765

をQから出すのは、後述するチャイニーズフィネスと呼ばれる偽物のフィネスです。WがKをもっていたとしてQ→K→AとなったとしてもJを持っていないので、勝てる数が増えているわけではないからです。

ここから先は結構ややこしいフィネスです。最初のうちはわからなくても大丈夫!僕も始めたての頃はよくわからずにやっていました。

G. ラフィングフィネス (ruffing finesse)(出現度★★★)

N側:

♠なし

♥2

♦32

♣2

S側:

♠KQJ

♣A

♥がトランプ。EW側に♠Aあり、♥はもうない。

ラフィングフィネスはラフを利用するフィネスです。すなわちノートランプでは起こりません。

今回は♥コントラクトで、Nだけが♥を持っています。Sにリード権があり、EW側に♠Aがあります。

あと全部勝ちたいときどうするのがいいでしょう?

正解はSから♠Kを出し、Wが♠Aを出さなかったらNは♦2を捨てておき、出したら♥2でラフします。Wが♠Aを持っているなら♣AでSに帰ってきてのこった♠QJは勝つことができますね。もちろんSの♠Kが勝ったら同じように♠を続けるだけです。
 

(注意点)S側に2回エントリーが必要(フィネスするためのエントリーと、ラフした後もう一度Sに帰ってくるためのエントリー)

H.  ドロップフィネス (drop finese)(出現度★)

   N側:Axxx

W側:Kxxx  E側:J

   S側:QT98

ドロップフィネスは、フィネスが効く側(今回はW側)のカードをターゲットにしてフィネスしつつ、効かない側(今回はE側)のハイカードを叩き落すフィネスです。

SからQを引きます。WがKを出しても出さなくてもEからJが降ってくるのでT98を使ってW側をターゲットしたフィネスが続行できます。

これが難しいのは、ほかにもフィネスの仕方が存在するからです。

例えばNにAで回って、EにKをマークしてQでインダイレクトフィネスするプレイや、EにJをマークしてTでインダイレクトダブルフィネスする例などです。

細かい確率やカード配置によって、どの触り方が最善かはその場その場で考える必要があります。

ドロップフィネスは配置がなにもわかっていない場合、確率的には劣ることが多いので、今回の場合はビッドやこれまでのプレイからW側がKを含む長いスートであるときに有効です。

(注意点)本当にそのフィネスが正しいか見当が必要。

I. エントリーフィネス (entry finesse)(出現度★)

N側:AJ

S側:K2

エントリーフィネスはかなり珍しいものですが、僕も年1回はやります。毎日ブリッジしている人なら週1ぐらいでは出てくるんじゃないでしょうか。上の形、NがA、SがKで勝てるから最初から2勝では?と思うでしょう。実際その通りです。しかし、ブリッジにはスートが4種類あり、ほかの都合で何としてでもNに2回行きたい。。。しかも行ける可能性があるのがこのスートしかないってことがたまに起こりえます。

そんな時リスクを冒してやるのがエントリーフィネス。

SがQを出さなかったらNからJを引きます。これが勝ったなら2回目はKをAでオーバーテイクすることでNに入れます。

当たり前ですが、このフィネスでこのスートに限って言えばトリックは増えません。むしろ50%の確率で減ります。ほんとうに必要か考えてやりましょう。

J. イントラフィネス (intra finesse)(出現度★★)

   N側:Q9xx

W側:Tx  E側:KJx

   S側:A8xx

イントラフィネスはさまざまなバリエーションがありますが、基本的な概念としては一回相手のハイカードを使わせながら負けて二回目にフィネスにかけるものです。

今回の例が多いパターンで、まず最初にSからxを出し、Wもxを出したらNの9でフィネスします。これでセットアップ完了です。二回目にNからQを引くとEW側はKとTがドロップフィネスにかかります。

普通にAを勝ってWにKをマークしてQをフィネスするプレイも優秀であるので、E側にKがありそうなときに検討するものです。それでもなおEがKxダブルトンだったらSでAを取って二回目はNでxを引いてEのKを飛び出させるのが正解です。

今回の場合、特に情報がなければQをフィネスしたほうが3勝できる確率が高いです。イントラフィネスは配置を正確に読めればかっこいいフィネスですが、選択されないことも多いです。こういう選択肢もあると思ていてください。

K. オブリガドドリーフィネス (obligatory Finesse)​(出現度★)

N側:K432

S側:Q765

オブリガドリーフィネスは8枚フィットの時にAダブルトンをターゲットとしたフィネスです。このフィネスは2wayであることがおおいです。まずどっちがAxかを気合で当ててください。今回はW側をAxだと思ったとしましょう。そんな時はSからまずKめがけてフィネスをします。WがAを出したらN側で2を出すことでリターンを勝った後にKとQでオポーネントのこのスートのカードを全部集めきって4巡目も勝つことができます。

一方Wにxを出されたときはKを引いて勝ちます。そしてNから2をプレイします。ですが今度はフィネスをしません。SではQでないカードをプレイして、WのAが飛び出すことを狙います。Axだったら飛び出してきます。

一般的にNのKが勝ったらAは大体W側です。ですのでQでのフィネスは成功しません。したがってここでQを出さないのはある意味義務でしょう。obligatory(義務的)というのはここからきているのかもしれません。

QxxとKxxxxやQxとKxxxxxの時も同じです。(Qxの時はKサイドからQにむけてのフィネスが1回目になるので2wayではなくなります)

L. チャイニーズフィネス (Chinese finesse)(出現度★★)

N側:A2

S側:Q54

チャイニーズフィネスは相手のミスをねらったプレイで厳密にはフィネスではなく、ディセプティブプレイと呼ばれるものに入るのかもしれません。上のようなハンドの時このスートで2勝したいとしましょう。

一番2勝できる確率が高いのはNにAで渡ってからEにKをマークしてQのインダイレクトフィネスをすることで、成功率は50%と少しです。

しかし、ビッド展開からWにKがありフィネスが効かないことが分かっている、もしくはそもそもあと1回でも負けたらもうコントラクトが落ちてしまう。そんな状況もあります。そんな時に使うのが非常手段チャイニーズフィネスです。

SからQをプレイします。Wが間違えてKを持っているのにKを出さなかったらQが勝ちます。あとAをとって即2勝です。Wが正しくKを出したらもうだめです。Aで捕まえても2勝目はありません。もちろんEがKをもっていたらただQがKにつかまるだけなんでやはり2勝目はありません。ではWが間違えることなんてあるの?と思うでしょうが、結構あります。

Nがダミーだとしたら、Sが今回のようにQ54からQを出しているのか、それともQJTから出しているのかはわかりません。もし後者だとしたら正当なフィネスですし、すぐにKを出したらAで勝ってNの2からSのJがエントリーになりプレイを簡単にしてしまうかもしれません。さらに今回の場合は二巡目にはAが出てくるのでそこまで我慢すればKは3巡目には勝てるようになります。SがQJTの三枚だったらを出さなければ2勝だったところをKを出して3勝になってしまう可能性もあるわけです。
 

ですのでSの手をしっかり読んでいないとKを出せないことがまあまああります。

M. フリーフィネス (free finesse)
 

N側:AQ

S側:32

N側:A3

S側:Q2

上の二つの例をみてあれ、これダイレクトフィネスと、チャイニーズフィネスじゃんと思った人。そうとうここまでのことが理解できています。では何が違うのか。リードする人が違うんです。今回の場合、Eからリードされるとフリーフィネスの形になります。

1つ目の例だと、Eからリードされると、EとW、どっちがKを持っていたとしても2勝できる形になっているのに気が付きますでしょうか。Nが4番手、最後に出せるからですね。2つ目の例はチャイニーズフィネスで、本来は2勝することはできませんが、もしEがKを持っていて、Eからリードが来ると2勝できるようになります。WがKを持っていて、Wからリードが来た時も同様です。(厳密には2個目をフリーフィネスと呼ぶかはちょっと怪しいですが、まあ定義はざっくりでもブリッジのスコアには関係ありません(笑))

このように、相手にリードしてもらうことで50%のはずのフィネスが100%になったり、できないはずのフィネスができるようになるものをフリーフィネスといいます。ほとんどのフィネスは実は相手に触ってもらったほうがいいんです。