4. スクイズ (squeeze)④
4-5. 珍しいスクイズ
スクイズはそこまで珍しくないですがほとんどがシンプルクイズで、たまにダブルとストリップが出てきます。
他の形はかなり珍しく、その場で考えて、「ディフェンダーがこの形なら、うまくスクイズにかかっている」といったように思いつけるかどうかといった勝負になってくると思います。それぞれの形を暗記するというよりは、これまでに述べたスクイズの基礎概念を理解しておいて、いざ現れた時にその場で思いつきやすくする目的で読むことをお勧めします。全く知らないと無理でも一度見たことあると思いつける可能性は上がるので。
D. ステッピングストーンスクイズ (stepping stone squeeze)
ステッピングストーンスクイズ、(飛び石スクイズ)はストリップスクイズの亜種です。たまに現れるので、うまくできたら友達に自慢しましょう。右図を見てください。NS側は3勝が目標です。パット見♣A♠A♠Kで3つありそうですが、Nへのエントリーがなく、現状♠Aはとれません。♠KをAで勝てばNには入れますが、♠Jは勝てません。
しかし♣Aを出すとどうでしょう。Wは絞られています。
♥Aは捨てられません。もし捨てたらSは♥K、♠Kが勝てます。もちろん♠もだめです。捨ててしまうと♠KをAでオーバーテイクしてエントリーにして、Jに勝たれてしまいます。
というわけでWは勝てなさそうな♦を捨てるしかありません。
しかしこれはWが脱出できる唯一のカードでした。
SはWが♦を捨てるのを確認した後♠Kをとって、Wに♥Kで放り込みます。Wに残っているのは♠Q1枚、Nの♠に打ち込んで3勝達成です。
このようにディフェンダーを経由することで存在しないエントリーを作り出すのがステッピングストーンスクイズです。
E. スーサイドスクイズ (suicide squeeze)
スーサイドスクイズはストリップスクイズに近い形をしていますが狙ってやるのはかなり珍しいです。ストリップスクイズはディクレアラー側のスクイズで、ディフェンダーがウィナーを捨てるかスローインされるかの見合いにさせる技術でした。スーサイトスクイズは順序が逆でまずスローインをします。スローインが成功する形はディフェンダー側にフリーフィネスまたはラフアンドディスカードしか選択肢が無いようにするものがほとんどですが、ごくまれにディフェンダーがもう一人のディフェンダーをスクイズすることを強制するパターンもあります。
右図を見てください。NS側は残り4トリックのうち2トリック勝ちたいです。しかし、勝てそうなものは♠Aしかありません。まず♣2でWの♣Aにスローインします。
Wは♥Aを勝とうとすると、パートナーのEがスクイズされます。Eが♠を捨ててしまうとSは♦Kを捨てて♠2勝、♦を捨てたらSは♠Tを捨てて♦K♠Aで2勝です。
逆にWが♠を触ると今度は打ち込みです。NSは♠2勝になります。Jから出すとJ→Q→K→AとなりTが勝ち、4を出すとNから2を出しておくとEは詰みます。(♠はお互い先に触れると損する形をしており、こういう形をフローズンスート(frozen suit)といいます。)
F. クリスクロススクイズ (cris-cross squeeze)
クリスクロススクイズはシンプルスクイズの一種ですが、ダミーとディクレアラーお互いのエントリーがブロックしているためウィナーを取る順番が大事です。いつも通り♣Aでスクイズです。
Wが♥を捨てた場合、♥Aを取ってNにわたって♠Aと♥Qを取ります。
一方Wが♠を捨てると先に♠AでNにわたって、♥AでSに帰ってきて♠Qを取ります。順番を間違えないように注意しましょう。
G. トランプスクイズ (trump squeeze)
トランプスクイズもシンプルスクイズの亜種ですが、ラフが絡みます。図4を見てください。今回は♠がトランプです。♣AでWがスクイズされます。♦Qを捨ててしまうと♦Aを取った後♥Aで♥をラフしてダミーに入ってNの♦が取れます。一方♥を捨てると今度は♥A♥ラフした後♦AでSに帰ってきて♥3が取れるようになっています。