top of page

​3. エンドプレイ (endplay)

3-1. エンドプレイの基礎概念

フィネスの、『フリーフィネス』でも若干触れましたが、ブリッジにおいて、ディフェンダーに触ってもらったら得をする形はかなりの頻度で発生します。もちろん、ディフェンダー側もそんな怪しいスートはなかなか触ってくれません。しかし、勝った時にそのスートしかなかったらもう出すしかありません。ディフェンダーをそんな状況に追い込むのがエンドプレイです。(厳密には次にあげるスクイズもエンドプレイの一種かもしれませんが、スクイズはそれだけで長いのでこのサイトでは分けます)

フリーフィネス (free finesse) とラフアンドディスカード

(ruff and discard)

ディフェンダーに触ってほしい形、逆に言うとディフェンダーが追い込まれたくない形はフリーフィネスとラフアンドディスカードの2つです。図1を見てください。♠がトランプ(切り札)で、あと3勝したいです。♠を持っているのはNSだけなので、♠は1勝できます。♥はフィネスが成功すれば2勝なので、3勝の成功確率は50%に見えます。果たしてそうでしょうか?

Sから♦を出してみましょう。これは勝てません。Eに負けます。しかし、Eから出せるものがありません。

Eから♥を出すとフリーフィネスです。フィネスが効かずに勝てなかったはずの♥Qが、4番目に出せるようになったために勝てるようになっています。

​Eから♣Aを出すとラフアンドディスカードです。Sで♥2を捨てて、Nで♠3でラフします。これにより♥Qも♠2でラフできてしまうので、フィネスの必要がなくなりました。自分から出すと♠は同時に使わないといけなかったので、1勝しかできませんでしたが、オポーネントがNSどちらも持っていないないスートを触ってくれたので片方の手でルーザーを捨てつつもう片方でラフができ、トリックが1個増えています。

throwin.png

このように何を出してもディクレアラーの得にしかならないカードしかないディフェンダーに勝たせて、ディクレアラーのトリックを増やす技をエンドプレイ(別名スローインプレイ (throw-in) といいます。

P.S. 実戦においてはEとWどっちが♦を持っているかわからないことも多いです。もしWが勝ったらスローインにはなっていませんが、Wから♥以外が出てきたら確定メイクですし、♥が出てきたらそこでフィネスかAを叩いてKが落ちてくることに賭けるか決められます。したがって、Sから♦を出さずに♥をフィネスする(もしくはAを叩く)プレイよりは必ず優れています。

3-2. エンドプレイの実践例

●エリミネーション

ディフェンダーをエンドプレイにかけるには、ディフェンダーが安全に脱出できるカード(エグジットカード(exit card))を消滅させるという下準備が必要です。

右の例を見てみましょう。コントラクトは6♠ bySです。オープニングリードで♦がきてSにあるAで勝ちました。♠のブレイクが2-1なら確定メイクですが、♠2を出すと、Wがショウアウト、EのQJT3枚が確定します。♠は1つ負けるので♥のツーウェイフィネスを当てるのが一つのラインですが、もっといいプレイがあります。

♠Aを勝って♣Aを勝ち♠Kをキャッシュ、♦5を♠でラフしてもう一度♣を出し♣Qも勝って♦4を♠でラフします。そしてNの♣のKもキャッシュします。ここまでいったら完成で、NS側から♦と♣はなくなっています。♠をに負けに行くと、Eはスローインにかかります。Eが♥を出せばフリーフィネス、♦と♣はNSのハンドからエリミネイト(消滅)されているので、ラフアンドディスカードになります。

もし、NSの♦と♣を消しきる前に♠を負けに行ってしまうと、Eは♦でも♣でも脱出することができます。

(エリミネーションが完了する前にEにラフされてしまうとEはまだエグジットカードを持っている可能性があるので、エンドプレイは失敗です。♥を当てるしかありませんが、それまでの情報から、いきなりツーウェイフィネスをするよりもだいぶ情報は増えています。)

(​エンドプレイに関しては、スマザープレイと呼ばれる珍しいものもありますが、それはややこしいので「クー」のページに回します。)

throwin2.png
bottom of page