4. スクイズ (squeeze)①

4-1. スクイズの基礎概念

ブリッジプレイヤーなら一度は聞いたことがあるかっこいいプレイがスクイズです。一言でいうと、ディフェンダーにウィナーや、将来ウィナーになるカードを守っているカードなど大事なカードを捨てさせるプレイです。かっこいいとはどういうことか、難しいということです。スクイズは文章で書くとかなり小難しく見えてしまいます。大学のブリッジサークルだと、1年生でできるプレイヤーは稀です。実際に慣れてくると、なんだこんなもんかという風になるんですが。。。ひとまず例を見ながらこんなもんなのかというような感覚になりましょう。

squeeze図1.png

図1. Sがディクレアラーで、今ノートランプコントラクトをやっています。NS側はあと3トリック全部勝たないといけません。リード権はサウスにあります。

NS側のハンドを見てみると、勝てるのは♠Aと♣Aの2枚です。♠フィネスしようとしても一回目にQが出てきて、二回目のJはKに負けるのでできないですし、♥を出してもKはAに負けてしまうので2勝しかできない?本当にそうでしょうか?

では試しにSから♣Aを出してみましょう。Wは何を捨てましょう。

 

Wがもし♥Aを捨てたらNで♠Jを捨てて♠A♥Kは勝てるようになっています

Wがもし♠Qを捨ててしまったら今度はNで♥Kを捨てます。Sから♠を出すとWの♠Kが出てくるので♠AJは勝てるようになっています。

要するにWの持っている3枚は一枚も捨ててはいけないカードなんです。でも、Sが♣のAを出した瞬間にWは捨ててはいけないカードのうち1枚をルール上捨てなければなりません。こうやって2つ以上のスートのどちらもを捨てられない状態にした後、強制的に捨てさせて、捨てたほうのスートを昇格させてあげる技がスクイズです。

ぱっとみややこしいけど、まあできなくはないなと思ったでしょう。​ではスクイズがなぜ難しいのか。​

 

①それはスクイズが成功するには4つ条件があり、そのすべてを整える必要がある。

②スクイズプレイ以外にもフィネスやスローイン、それらの組み合わせなど、現実的なプレイが存在することも多く、どれが一番適切かを考えるのが難しい。しかもスクイズには数十種類もあり、どういうカードの配置を予想するかで下準備が異なる。

②ができるようになるには結構な数の実践が必要で、サイトを読むだけでは不可能です。でも大丈夫、逆にできたらすでに相当なエキスパートです。このサイトでは①について紹介したあと、代表的な形から順番に説明していきます。最初はポジショナルシンプルスクイズと、オートマチックシンプルスクイズの2つだけ覚えればもう十分ですし、それでスクイズの8割はクリアできます。

4-2. スクイズの4条件

図2-5squeze.png

​スクイズは適当にやっても成功しません。必要条件が4つほどあります。これらを全部満たしたときに特定の場合で成功します。(参考:Clyde E Love『Bridge Squeeze Complete』)

​①Busy:スクイズにかけられる側のプレイヤーはすべてのカードが捨てられない状態=Busy状態になっていなければなりません。図2を見てください。図1とよく似ていますが、♣Aを取った時にWは♥3を捨て、スクイズを逃れることができます。図1ではWが♠♥の両方を担当していたため、スクイズが発生しています。しかし、今回は♠がW、♥がEと担当が分かれているので、Wは捨ててもいい♥があり、busy状態になっていないんです。この配置の時にEをbusy状態にするのはどんなプレイをしても不可能です。要するにスクイズプランを選んだ時点ですでに失敗しているのです。

Loser:余分なルーザーは先に負けておく必要があります。

図3を見てください。図2から全員の♦が一枚ずつ増えています。さっきは残り3枚で3勝が必要でした。今回は増えた♦は別に勝たなくていいです。つまり4枚で3勝したいとしましょう。さっきと同じようにスクイズできますか?いいえ、さっきと同じように♣Aを出してもWは♦5を捨てることでスクイズを逃れることができます。ディクレアラー側にルーザーが2つあるせいで、Wは捨ててもいいカードが必ずのこっています。

スクイズがかかるタイミングはNS側のウィナーの数+1枚の瞬間しかありません。今回の場合だとウィナーは2つなので、残り3枚の瞬間にしかかかりません。これをカウントを整えるという人もいます。
(図2のようになってしまってから今更♦を負けに行ってももう手遅れで、EW側に勝たれたら♥Aを普通に取られてしまいます。)

Upper:スクイズで昇格させるカード(スレット (threat)といいます。)はBusy状態のディフェンダーの裏で待ち構えている必要があります。図4を見てください。①のBusy、②のLoserともにそろっていますが、今回Busy状態なのはE側です。しかし、Eは、Sから♣Aが出た後、Nが♠を捨てたら同じく♠を捨て、♥を捨てたら同じく♥を捨てることでスクイズにかかりません。図1のWはNより先にプレイしなければいけなかったからスクイズにかかったんです。

Entry:スクイズによって昇格したカードを取りに行くには当然エントリーが必要です。図5を見てください。Sから♣Aを出すとWはスクイズされますが、♠を捨てます。Nで♥Kを捨てると、Sで♠Aを取った時にNの♠Jは勝てるようになっていますが、Nに入れません。したがってSは泣く泣く♥6をプレイしてWのAに負けるしかないのです。当然のように感じるかもしれませんが、このエントリーを用意するのが結構難しいんです。フィネスの時はサイドスートのAなどをエントリーにできましたが、スクイズの場合、サイドスートにAがある、つまり余計な枚数があると、ディフェンダーはbusy状態になっておらず、成功しないことが多いです。

これら4条件の頭文字をとって、『BLUE』​と呼ばれるのがスクイズの条件です。ここまで読ませておいて申し訳ないのですが、スクイズは実際にやってみるのが一番です。